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 MS-Access2000超入門部屋--MS-Accessってどんなソフト?
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■MS-Accessってどんなソフト? 3/3■

では、どういう段取りで使い方をマスターしていくのがよいでしょう。その辺を少し考えてみますね。

ちょっと「車の運転」をするときのことを考えてみてください。
まず、車そのものの操作を覚えないといけないですよね。それと、基本的な交通ルールも覚えないと。

でも、それだけじゃなかなか思うようにはならないと思います。行きたいところまでの道順を頭に入れないといけないですよね。っていうか、そもそも「どこに行きたいのか」行き先を決めないと。
Accessみたいなソフトも似たようなもんで、ソフトの操作方法や使い方そのものを覚えながら、作りたいものを作る設計力みたいなもんも多少養わないとならないんですね。

Accessの基本的な構造はこんな感じです。
例えば、前のページみたいな、売上のデータベースを作ろうとすると、

「何がいついくつ売れたか」というデータをためるところを「テーブル」といいます。
売上のデータは、最終的にここにたまります。
もし、「顧客名を一覧表から選びたい」とか「顧客を選んだら、自動的に住所や電話番号が出てくるようにしたい」とか「商品を選んだら、単価が出てくるようにしたい」とかいう感じにするなら、あらかじめ顧客に関するデータや商品に関するデータも、べつくちで集めて、「テーブル」の中に入れておきます。
まずはこうして、処理に必要そうなデータを入れておく入れ物とか、データが入ってくる入れ物とかをいくつか作っておきます。まあ、バケツみたいなもんだと思ってください。


テーブルにデータがたまったら、そいつは後で活用したいですよね。
4月に注文受けたデータだけ取り出して、請求書を作るとか、在庫の少ない商品だけ抽出して注文リストを作るとか。この「取り出す」とか「抽出する」とかいう仕事をするのが「クエリー」というやつです。

売上の多い商品順に並べ替えをしたり、特定の顧客のデータだけ取り出したり、商品ごとに集計して、売れ筋の商品を調べるための資料にしたり・・・。いろんなシーンで活躍します。
テーブルの中から不要なデータだけ削除したりするのも、このクエリーを駆使してやります。
クエリーを使いこなすことができたら、もうしめたもんですよ。
まあ、バケツから水を搾り出すための漏斗(じょうご、って、知らない人多いかなぁ)みたいなもんだと思ってください。

テーブルとクエリーを駆使するだけでも、わりとそこそこ情報活用はできると思うんですけど、あんまし見栄えがよくないし、いまいちかっこ悪い。
せっかくなんだから、コマンドボタンをクリックしたら他の画面が出てくるとか、一覧から顧客名を選ぶとか、ちょっとかっこよくそれっぽく作りたいですよねぇ。

画面のことを「フォーム」といいます。こいつを体裁よく作ると、入力の効率も上がるし、ぐんとかっこよくなります。コマンドボタンとかコンボボックスとかリストボックスとかオプションボタンとかも、この中に作ります。いろいろ工夫できますから、皆さんのセンスを活かすことができます。

↑こういうの、よく見かけますよね。
ただデータを入力するだけじゃなくて、一覧から該当するものを選んだりする仕組みも、とても簡単に作ることができるんですよ。


フォームは画面周りですけど、印刷物も出したいですよね。請求書とか、売上一覧表とか、顧客リストとか・・・。
印刷物は「レポート」といいます。
まあ、これも、テーブルやクエリーのまんま印刷したんじゃちと見栄えが悪いし、レイアウトを凝ることもできないんで、だったら作れば?って感じですかね。イメージとしては「フォームの印刷物バージョン」って感じです。やっぱし、テーブルとかクエリーからデータを受け取って、印刷するってことになりますね。

で、この4つの作り方と役割を押さえれば、たいがいのことは何とかなると思うんですが、ここで、ほれ。「コマンドボタンをクリックしたら他のフォームが出てくるようにしたい」とか「フォームを閉じたら一覧表が自動的に印刷されるようにしたい」とか、なんかちょっと動きを付けたいなって思いません?せっかくなんだから、それっぽく。
「○○をしたら●●になる」みたいな感じで、何かの処理を自動化するとき、「マクロ」というものを作ります。
マクロはちょっと絵にしにくいな・・・細かいことはおいおいお話していきますね。




つまりですね・・・。
データを書き込むノートやメモを作ったり、ノートから必要なデータだけ取り出して表示したり印刷したり、そういった仕事をいろいろ行うことができるソフト、ということではないのです。自分でそういう仕組みを作ることができるソフトなんです。

したがって、全部自分で作らないといけません。
Accessの中には、そういう仕組みを作るための道具や材料が用意されていますが、作るのはみなさんです。

はっきり言って、最初はなーんもありません。

データの入力をしたければデータの入力ができるような枠を作って、キレイに印刷したければそういうレイアウトを自分で作って、「5月分だけ表示して件数を数えて、金額を集計したい」と思ったらそういう仕組みをこつこつ作らないとなりません。
ExcelとかWordって、起動するととりあえずなんか入力できそうな画面が出てきますよね。でもね、Accessは、その画面から作ってかなきゃなんないんですよ。

なので、例えば「1年に1回印刷する、小さい集計表」とか、「会員20名のサークルの会員名簿だけ印刷したい」とか、そんな感じのは、作るのはカンタンですが、労力がかかって割が合わないかもしれません。こういうのはMS-Excelなど、平面的に見渡しながらデータの入力ができる表計算ソフトを工夫して使った方が、見た目も効率もよいと思います。なんか、「Excelの上級者向けがAccess」って思い込んじゃってる人もいるみたいですけど、これ間違いですからね。
比較にならんですから・・・ExcelとAccessは。ぜんぜん違うもんですから。

で、「月5000枚近い伝票をもとに納品書を作成し、月末に顧客ごとの集計表と請求書を作成して年間の入金情報を累計ファイルに蓄積する」なんていう処理にはもってこいかもしれませんね。ボタンひとつクリックすれば複雑な計算を施した集計表を印刷することができたり、複雑な仕組みを、操作する側に負担をかけないように作り込むことができるはずです。

ただし、繰り返しますがAccessの中には道具と材料しかありません。本棚を作るための板と道具が用意されているだけで、便利で使いやすい本棚ができるか、一応本棚の形はしてるけど棚が小さすぎて本が一冊も入らない本棚になるかは、みなさん次第、ということになります。Accessの操作そのものを覚えても、とりあえず「のこぎりの使い方」とか「釘の打ち方」を覚えたに過ぎません。大切なことではありますが、本当に使いやすい本棚を作れるようになるにはどうしたら???

Excelの場合は、本をしまう本棚を買って来て、本をしまうところから作業することになるわけですが、Accessの場合は本棚を作るところから作業することになるわけです。本棚そのものがほしかったのに、なんじゃこりゃ???って方、いらっしゃいませんか?本棚買うつもりでお店に行ったら、本棚を作るための道具セットを買ってきちゃった。で、本はどこにしまうの???状態の方は・・・。

その辺が、「Accessって、本3冊買ったけど、よくわからない」といわれるゆえんではないかな・・と思います。おそらく、ExcelやLotus1-2-3などの表計算ソフトや、CARD3など他のデータベースソフトと比較して考えておられる方には、いったい何をどうすれば思ったようなものができあがるのか、書籍を読んでもよくわからないと思うんです。

でもね、裏を返せば、仕組みを作ることができちゃうわけですよ。
使い方覚えて、自分の会社の仕事にぴったりの本棚を作っちゃいましょうよ。ね。そんなに難しいことじゃないですよ。




とりあえず、基本的な構成要素は上記の5つです。売上のデータベースに必要と思われる数だけ、「テーブル」や「クエリー」や「レポート」や「フォーム」や「マクロ」を作ります。「テーブル」や「クエリー」や「レポート」や「フォーム」や「マクロ」のことを「オブジェクト」と呼んでます。
コンピュータの世界ではよく使う言葉で、意味はあんまりないんですけど、「名前を付けてコンピュータのディスク上に保存されているもの」をぼんやりと漠然と「オブジェクト」と言います。まあ、魚屋にならんでるものを「さかな」って呼ぶのと同じかな。それぞれサバだったりマグロだったりサンマだったりしますけど、さかなですよね。

で、この「オブジェクト」をしまっておく入れ物を「データベース」と呼んでます。Accessの世界では。
Accessの外側から見ると、xxxx.mdbという拡張子のつくファイルになります。だから、Accessで作ったデータベースのことを、mdbファイル(えむでーびー)と呼ぶ人もいます。

と、いろいろ書き並べてきましたが、要するに、「テーブル」や「クエリー」や「レポート」や「フォーム」や「マクロ」の作り方と役割を知らないと、お話にならないということです。もちろん他にもいろんなこと覚えていかないとならなくなるかもしれませんけど、基本はまずこの5つ。
で、肝心なことは、これら5種類のオブジェクトの作り方を、個々に覚えてもしょうがないってことです。各オブジェクトは、データベースの中でそれぞれつながりを持って働きます。クエリーはテーブルの中からデータを抽出するオブジェクトだから、テーブルとものすごく深いかかわりを持つし、フォームはテーブルかクエリーからデータを受け取って表示するからこれまた関係があるし、マクロはだいたいがフォーム上から動かすように作るから、フォームとすごく関係があるし・・・で、それぞれのつながりを意識しながら作っていくことが大切なんですね。

例えば「売上管理」のデータベースを作るとなると、
1)「売上管理」という名の(名前は何でもいいんすけど)データベースを作る。
2)その中に、顧客のデータを入れるテーブルとか、売上のデータ入れるテーブルとか、必要に応じていくつかテーブルを作ってデータをぶち込む。
3)そのテーブルの中にデータを入力しやすいようなフォームを、これまた必要に応じていくつか作る。
4)メニュー画面とかもかっこよく作っちゃったりする。これもフォームの一種。
5)テーブルの中にたまった売上のデータから今月分の売上だけ抽出したり、顧客テーブルの中から該当する顧客を探したり・・・ってことをするクエリーを、これまた必要に応じて作る。
6)請求書とか売上伝票とか顧客リストとか、必要に応じた形のレポートを、これまた必要に応じていくつか作る。
7)メニューから入力フォームを開いたり、レポートを印刷したりする処理を、マクロにして、これまた必要に応じていっぱい作る。

と、いうような感じで、ひとつのデータベースの中に、そのデータベースの中身を構成するためのいろんな部品を(いわゆるそいつがオブジェクトってことで。具体的にはテーブル、クエリー、フォーム、レポート、マクロ・・・・もろもろ。あと、勇気と努力と根性。)必要な形に必要な数だけ作る・・・って感じになります。
だからね。具体的な使い方を本とか読みながら覚えるんじゃなくて、とにかく通しでひととおり作ってみて、各オブジェクトのつながりとか役割を意識しないと、なかなか習得できないもんなんですよ。Accessって。




さて、では、わたくしめがお勧めする「Access習得の段取り」です。
多少個人差があると思いますので、結局のところとっつきやすいところから取り掛かってください。何とかなりますよ。多分。

(1)5種類のオブジェクトの作り方と役割を知る
 方法としては、「テーブル」や「クエリー」や「レポート」や「フォーム」や「マクロ」がひとつふたつずつ含まれている小さなデータベースを作って、全体的な流れをつかむといいでしょう。「今日はテーブルの作り方、明日はフォームの作り方」っていうんじゃなくて、最初は小さなデータベースで、だんだん規模の大きなもの、実用的なものを作るようにしていくと、段取りや流れも把握できて、結果的には早道につながると思います。
 最初はあまり欲張らず、ほんとに基本的な操作を押さえて、少しずつ範囲を広げていくようにしましょう。っていっても、そんなに時間はかからないですよ。基礎さえしっかりつかんでいれば。
 でも、最初から「VBAを覚えたい」とかいってそっち手を出しちゃうと、はっきりいって全体の流れがつかめなくて結局時間かかっちゃうと思います。

(2)やっぱりテーブル設計が大事
 ひとくちにAccessを使う、っていっても、皆さんの置かれた立場ってそれぞれ異なると思います。ただ、今あるAccessのデータベースの修正ができればいいんだ、という方は、(3)へ進んでしまってもよいでしょう。でも、会社の中の業務を、自分でイチからデータベース化することを任されちゃって・・・なんて方は、操作だけ覚えてもかなり苦しいものがあります。
 Accessのオブジェクトの中で、1番大事で1番難しいもの・・・それはテーブルです。なんせ、データがたまる場所ですからね。これをうまく業務にあわせて作ることが、よいデータベースを作る足がかりになるわけです。VBAが使えることがAccess上級者なんて勘違いしてる人もいっぱいいますけど、ほんとはテーブルをうまく設計することができる人が上級者だって、言えると思います。
 「リレーショナル・データベースとは?」ってことがわかってると、すごくこの辺が楽なんです。でも、「リレーショナル・データベース」って、ちゃんと勉強するとなるとかなり時間もかかるし難しい・・・。Accessでテーブル設計するのに必要と思われることを、かいつまんでお話します。
 これは、操作方法じゃなくて、「ものの見方、考え方」なので、ちょっと難しいかもしれませんが・・・。でも、これを理解しているのといないのでは、かなり違ってくると思いますよ。がんばりましょう。

(3)さらに掘り下げて、細かい機能を習得する。
 ひとつの業務をデータベース化するとなると、(1)で覚えた基本構造だけではどうしようもなくなることもあります。特殊な処理をするためには、もっと便利にするには・・・少しずつ掘り下げて見ていきましょう。どこかで役に立ちますよ。

(4)よくありがちな小さなサンプルを作ってみる。
 あとはもう、数をこなすことです。自分が「作りたい」と思っているデータベースと、今までに使ってみたいろいろな機能を結びつけるためには、いろんな作りこみパターンをいっぱい知っておく必要があるでしょう。「交通費の精算システム」っていったって、会社によって交通費の支払いなんていろんなやり方があるし、「会員管理」とかいったって、管理ってなにをどう管理するのか、ケースバイケースですよね。いろんな機能を知って、いざ、自分が何かの業務をシステム化するってときに、「あ、ここであの機能が使えそうじゃない?」って、すぐひらめくことができれば、もうしめたもんです。
 ほんとに、決まった使い方はないんですよ。だから、机の上で本を広げて覚えようとしないで、どんどん使ってみることです。


お仕事をかかえながらAccessも覚えなくちゃ・・・と、なかなかゆっくり勉強する時間が取れずお困りの方も多いと思います。でも、データベースなんて、ほんとにほんのちょっとコツをつかんでしまえば、どうってことないものなんですよ。最近のソフトですから、ツールボタンとかは使いやすいようになってますからね。1日でも半日でも、ちょっと時間を作って、練習してみてください。大切なのは、操作を覚えることじゃなくて全体を見渡せるようになることです。

がんばりましょう。及ばずながら、「魔法使いの開発工房」がお手伝いします。