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 MS-Access2000超入門部屋--MS-Accessが誕生した時代の背景
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加えて、Windows3.1の上で動くソフトウェアもいろいろ登場し始めたのです。難しいことはわかりませんが、多分、市販のソフトウェアを開発する面でも、かなりの改革があったんじゃないでしょうか。とにかくいろいろな種類のソフトが色あざやかに出回るようになったんです。

Windowsが出てくるまでは、基本的にDOSのパソコンの画面は単色でした。DOSのパソコンはワープロとかデータ処理などの「業務系」に用いられることが専らで、アップルマッキントッシュのように絵を描いたり音楽を作ったりという「ホビー系」にはあんまり用いられてなかったんですね。それは、パソコン内部のCPUの能力とか仕組みとかの問題でしょう。とにかく市場はぱっくりと分かれていたように思います。

とても地味な仕事をこつこつこなしてきたDOS時代のDOSパソコンは、Windowsの登場によりカラフルになり、マウスで操作されるようになり、少しずつではありますが絵を描くソフトや音楽を作るソフトが登場し、個人市場にも幅広く入り込むことができるようになってきたんですね。

これがだいたい1991年〜1992年あたりでしょうか。とにかく、Windows3.1を中心として、めまぐるしく新しい技術がばんばん世に出て来て、どたばたどたばたしておりました。

そして、徐々に徐々に、安価なパソコンが登場し始めたのです。忘れもしません。COMPAQって会社がどどーんとニホンに押し寄せてきた日のことを・・・。いいのかわるいのかわかりませんが、とにかく安い!。どうせ精密機械だし、似たようなもんなら安い方がいい。そりゃあどこの会社さんだって安いの買いますよねぇ。2台分の値段で3台買えるなら、誰だって考えると思います。

Windowsの登場で、少し勢いがついてたパソコン市場に拍車がかかり、いろんなメーカーから安いパソコンがぞろぞろ登場するようになりました。フルセットで20万円を切るパソコンが、いろんなメーカーから出始めたのです。20万円。どういう金額かというと、会社の物品という面では、備品か消耗品かの目安となる金額。20万以下なら部長決裁をしなくても買える!なんてことになったら、さらに買いやすくなりますよね。

パソコン本体が売れる、ソフトも売れる、使う人が増える、ソフトの性能が上がる、パソコン本体の性能も上がる、また売れる、また安くなる・・・。この動きが、1993年あたりにピークに達しました。売ってる販売店の技術者は悩みます。

今まで1台150万円体制で売ってたパソコンが、なんとなんと1台20万円台に突入。10台売っても200万円。運搬費、設置費を差し引いたらもうけはわずかです。
買ったお客さんは、買っただけじゃやっぱり使いこなせません。ワープロソフトの講習会とか、困ったときに電話したら答えてくれる技術サポート窓口とか、やっぱり期待しますよね。でも、1台20万円のパソコンを売った売上だけでは、無料の技術相談窓口の技術者を社内にやとっておくことはできません。だんだん、無料の相談窓口を設ける力のある販売店が減ってきました。

メーカーのサポートは有料化の動きが進みました。うーん。やりきれないですねぇ・・・。



この流れの中に、もうひとつ、大きな波がたちました。そうそう。忘れちゃならないのがLANの登場です。

ろーかるえりあねっとわーく。早い話が、かぎられた範囲の中にある機器類をつなげて資源の共有を計ろう、という考え方です。ほほほ。なんかとっても懐かしいですねぇ。

いくらパソコンがすごくなったといっても所詮パソコン。社内に2台パソコンがあって、Aパソコンで作ってハードディスクに保存したワープロの文書は、Bパソコンでは見れません。AパソコンでもBパソコンでも印刷がしたかったら、印刷装置を2台買うか、切替え装置みたいな仕組みを作らないとなりません。

え?何いってるかわからない?そ、そうかな。そうですよね。まあいいじゃありませんか。

だからやっぱり、中大規模の業務や複数の人がいろんな拠点から入出力しなくちゃならないような業務は、パソコンじゃ物理的に不可能だったんですね。中型ホストコンピュータを買って、それの中にデータベースと業務プログラムを開発して作って、端末装置を複数台つなげて使う。。。お金はかかりますが、決まった操作をすれば決まった処理ができるので、使う側は別に特別なことをやらなくてもよかったのです。

ここにLANという技術が登場しました。一台「サーバー」という役割のパソコンを作って、そこに社内でみんなで共通して使うワープロ文書とかExcelの表とか保存しておきます。で、細いケーブルと接続のための装置を買い足して全部つなげれば、「サーバー」の中のデータをみんなで利用することができるのです。

また、サーバーにつながってるプリンターを、みんなで共通して使うこともできるのです。

すると、「みんなで共通のデータを使う」ということも、安いパソコンでできちゃうことになります。そりゃあどこの会社も初期投資額が少ない方がうれしいでしょう。パソコンでできるような仕事は、LANを組んでそこでやろう、という動きが少しずつ出てきたのです。

しかし、これには相当な技術が必要です。難しいこと、ということじゃなく、使う側にも多少の知識と心得が必要なわけです。安く済ませるために、当然市販の表計算ソフトとか使って伝票作ったりするわけですから、そのソフトの使い方を学ばなければなりませんし、みんなで共通してひとつのプリンターを利用するなら、その辺の様子も心得ておかなければなりません。「F1キーを押せば帳票の印刷ができますよ」なんて感じであつらえてあった中型ホストコンピュータと端末装置の操作とはわけが違います。

ダウンサイジングとはすなわち、コストを削減して小さなコンピュータシステムで仕事をするかわりに、ユーザーひとりひとりが少しずつ歩みよって知識を持って、自己管理&自己運営していかなければならないよ、ってことだったんじゃないかと思うんですけどね。なんか、メリットの部分ばっかり目立って、「苦労が多い!トラブルが多い!話が違う!」みたいなの、後からぼろぼろ出てきちゃったなんて話しも、ちらほら耳にします。

どこで耳にしたのかって?い、いえ、一般論です。

LANも最初は、相当なコストと技術が必要でした。LANのためのソフトというものが必要で、これが一筋縄ではいかないもんだったんです。LANマネージャーとかNetwareというLANのためのソフトが出回ってましたが、設定が難しい。需要はありましたが、利用環境によって設定もまちまちで、そこまで高い技術を持つ技術者が少ないこともあり、トラブりながら利用していた会社さん、多かったんじゃないでしょうか。

でも、パソコンだけで、離れた拠点間でデータのやり取りをすることも、物理的には可能になったわけです。メールなんてものが会社の中でよく利用されるようになったのもこのころでしょう。

Accessはちょうど、このころ生まれました。マイクロソフトがなんでこんなもん作って出してきたか、その辺はわたしにはわかりませんが、わたしが始めてこのソフトに出くわしたのは、「ホストコンピュータと端末装置を数台つなげてやるつもりだった業務システムなんだけど、そこまでお金かけられないお客さん」に、LAN環境でお金をかけず短期間でそれっぽいものを開発して作る・・・という状況下でした。



ちょっと話を飛ばして、LANのことですが、Windows3.1のころは、設定とかすごく大変だったんです。なにせ、まずDOSがあって、それの設定がこまごまあって、Windows3.1をその上に乗せて、それの設定とかまたいろいろあって、それと別にさらに「LANのための基本ソフト」ってのが必要で、これがまあLANマネージャーとかNetWareとかいうやつなんですけど、これがさらに難しい!で、このころは富士通のPCは富士通のPC用のDOSやWindows、IBMのPCはIBMのPC用のDOSやWindowsってことで、内部的なところが違ってたんで、いろいろ苦労してもつながんなかったり、お手上げだったりすることもたまにあったです。LANの規格もいろんなのがあって、一歩間違えるとぜんぜん役に立たない物品を買っちゃって大損、なんてこともありました。買って試してみないとつながるかどうかワカラナイとか、前例のないことも多かったです。

これまたWindows95、WindowsNT3.5というものが登場してからすっとんでしまいました。1995年のことです。なんと、LANの基本ソフトがいらない!Windows95そのものがLANを意識していて、面倒な設定とかいっさいなし!

しかも!DOSもいらない!Windows95そのものが、パソコンの基本ソフトになったわけで、メモリも使い放題、ディスク容量の制限もどどーんと大きくなって、パソコン1台でもそうとうな仕事をこなすことができるようになりました。
さらに、店頭で販売される場合など、最初からWindows95が導入された状態(プリインストールっていうんですかね)で工場から出荷されることが当たり前になってきて、「OSの導入」なんていう操作も、使用する側には必要なくなったんです。

そして、「富士通用」とか「IBM用」という、メーカーごと機種ごとの壁もなくなりました。そう、会社の中にいろんなメーカーのパソコンがあっても、全部おんなじWindows95のもとに動くのです。LANを組むのも楽になりました。

買って来てすぐ使える

LANを組むのも、ケーブルとちょっとした部品を揃えればオッケー。

メーカーによる違いはなし。

安い。

ソフトもいろいろ充実。

うーん。コンビニエンス。売れる売れる。安くなる。いろんな技術が生まれる。利用幅も広がる・・・。

と、そんなこんなで、今日に至るわけですが、Windows3xが登場した1991年頃と、Windows95が登場した1995年頃、この2つの時期に、パソコンを取り巻く環境は180度回転するような動きを見せたわけです。180度回転を2回やったらもとに戻るんじゃないかって?あー・・・いいじゃないですかそんなことはどうでもっ!とにかく、このふたつの時期のちょうど真ん中あたりの激動の時代に、Accessが登場してきたわけなんです。



同じようにパソコンを使っている人でも、DOSの時代から使ってる人とWindows95時代から使い始めた人とでは、パソコンに対する考え方などなどかなり違うんじゃないかなぁと思うのです。

決して技術の高い低い、能力のあるないではないですが、パソコンの仕組みがもっと単純で、あんまりいろんなこともできなくて、ソフトの種類もそんなにいろいろ選択肢のなかったDOSの時代から使ってきてる人は、その変遷を見て来てるという強みがあると思います。

若いインストラクターの中には、すごく優秀で教え方も上手なんだけど、お客さんに「保存ってどうしてしなくちゃいけないんですか」って聞かれて答えに詰まっちゃう人、いると思うんですね。なぜお客さんがそんな疑問を抱くのか、その辺を察することができるのって、やっぱりDOSの時代のパソコンを体験してる人じゃないかなぁって、そう思うんです。

もちろん、高い技術でカバーしている方はたくさんいらっしゃると思いますよ。そんなこと疑問に思うお客さんも、今は少ないのかもしれないですしね。